2015年2月16日 星期一

世界が本当に評価する日本ブランド「トップ30」 「Japan’s Best Global Brands 2015」から読み解く企業の実力

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世界が本当に評価する日本ブランド「トップ30」

「Japan’s Best Global Brands 2015」から読み解く企業の実力

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第35回】 2015年2月12日
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世界で本当に評価されている企業は?
ベストグローバルブランドの素顔

 「グローバル時代」と言われて久しいが、実際のところ日本企業は、グローバルでどれくらいのブランド価値があるのか。企業の社員や投資家にとって、気になるところだ。
 このたび、その目安となる興味深いデータが紹介された。世界最大のブランディング会社であるインターブランドが2月12日に発表したブランド価値ランキング「Japan’s Best Global Brands 2015」(日本のグローバルブランド Top 30)である。このランキングは、グローバルな事業展開を行う日本発のグローバルブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランク付けするものだ。企業の「真の価値」がわかると言ってもいい。
 今年で7回目となるこのランキングの対象基準は、日本初のブランドであること、各種の財務諸表が公開されていること、ブランドを冠する事業の日本以外の海外売上高比率が30%以上であること、B to B企業であってもグローバルで一般に認知されていることなどだ。
 こうした条件に沿って抽出した企業ブランドを対象に、(1)財務分析で企業の生み出す利益の将来予測を行う、(2)利益のうちブランドの貢献分を抽出しブランドの役割分析を行う、(3)ブランドによる利益の将来の確実性を評価するという、主に3つの分析を基に「ブランド力」を分析し、ランキングにしている。今年のランキング結果は、次の表の通りとなった。読者にとって「イメージ通り」のブランドもあれば、「意外」なブランドもあるかもしれない。
* “Best Global Brands 2014”にランクインしたブランドは、“Best Global Brands 2014”のブランド価値評価金額を適用しています ** Lexusの海外売上高比率はトヨタ自動車の数値 *** Yamahaはヤマハ発動機株式会社とヤマハ株式会社のブランド価値を合算して算出しています。海外売上高比率は2社の平均
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 では、このランキング結果から読み取とれる「日本企業のブランド力」のトレンドはどうなっているのか。また、ランキングに顔を出した企業のブランドはどこがスゴイのか。インターブランドジャパンを率いる和田千弘・代表取締役社長CEOの分析を交えながら、紹介して行こう。
 まずランキング全体の傾向を見ると、日本のグローバル企業のブランド価値合計金額は、昨年調査の対前年比6%増を大きく上回り、対前年比15%増(約138242 million USドル)と大幅増を達成、調査開始以来最高を更新した。昨年に引き続き、米国などの先進国の景気回復、円安といった外部環境が改善した影響が大きい。日本企業のブランド価値がここまで大きくハネ上がっていることには、驚かされる。

自動車ブランド大躍進の裏側
エレクトロニクスは明暗分かれる

インターブランドジャパンの和田千弘・代表取締役社長CEO
 では、業種・企業別のトレンドはどうなっているのか。第一に自動車ブランドの大躍進が挙げられる。「Toyota」(トヨタ自動車)が7年連続で第1位(対前年比20%増)を達成したほか、「Subaru」(富士重工/13位)が同72%増、「Mazda」(マツダ/17位)が同56%増、「Nissan」(日産自動車/5位)が同23%増と、記録的なブランド価値アップを実現。自動車関連企業は平均31%もブランド価値を向上させた。なぜこれほどまでにブランド力が増したのか。
 ブランド価値をアップさせた各社に共通するのは、グローバル展開する事業のあらゆる活動をブランド中心に変革したことにより、海外顧客から「特別なブランド」と認知され始めていることだ。これまでトヨタ自動車の独壇場だったブランド戦略だが、ここにきて日産、マツダ、富士重工などは統一的なブランドイメージづくりに現場レベルから取り組み、海外での売り上げを伸ばしている。たとえば、ハイテク感のあるショールームづくり、店舗とウェブサイトとの効果的な連携、走る楽しさ以外に「安全性」など独自の強みをアピールするCMづくりといったブランド戦略を通じ、「各社とも海外顧客に対して『トヨタとは違う個性』を打ち出すことに成功しつつある」(和田CEO)。
 円安などの追い風もあり、自動車各社はグループ全体で業績が上向いている。そうしたなか、グローバルに加えてローカリゼーションまで意識した「体系的なブランドづくり」に、本格的に取り組む体力・余裕が出て来たという言い方もできよう。
 第二に、エレクトロニクス分野はブランドによって明暗が分かれた。ソーシャルイノベーション事業を中心に、事業戦略とイノベーション戦略を一体的に進め始めた「Hitachi」(日立製作所/18位)が、対前年比25%増と価値を急伸させた。徹底したブランド戦略を手がける自動車各社には遅れをとるが、「古く大きくて動きが鈍い」という従来のイメージを払拭し、「『ワンブランド日立』を海外に認知させつつある」(和田CEO)。
 一方で大きく価値を減じたのが、「Nintendo」(任天堂/8位)と「Nikon」(ニコン/16位)で、それぞれ対前年比▲33%、同▲29%となった。両社ともグローバルでのブランド力は高い企業だったが、スマートフォンの爆発的な普及に伴うソーシャルゲーム、撮影需要の増大で、ポータブルゲーム、一眼レフデジカメといった従来の得意領域を侵食されてしまった影響が大きい。
 任天堂は日本において、安易にソーシャルゲームに参入しないことが逆にブランド価値を高めていた側面もあったが、「ユーザーとの接点が減った」という点において、グローバルでの評価は下がってしまった。また、一眼レフデジカメの雄であるキヤノン(3位)が、ITや事務機分野といったデジカメ以外の収益の柱を増やすことによってブランド価値を維持している現状に対して、今のニコンの姿は対照的と言える。

ヤクルトが初ランクイン
海外で想像以上に強いソニー

 第三に、独自のビジネスモデルを効率的に海外展開し、新興国を中心にブランド価値を伸ばした企業が、続々と初ランクインを飾っていることも特徴的だ。代表選手が「Yakult」(ヤクルト/27位)である。ヤクルトは東南アジアを中心に、認知度が急上昇中。「『安くて健康になれる食品を子どもに与えたい』という新興国の母親たちのニーズに商品の特性がうまくマッチしており、まさにBOPビジネスモデルの成功者と言える」(和田CEO)。
 「Epson」(エプソン/26位)は競合が少ないインクジェットプリンタ分野において、新興国で「安くて品質がいい」製品のシェアを堅調に伸ばし、「Yamaha」(ヤマハ+ヤマハ発動機/29位)も競合が少ない二輪車で認知度を高めた結果、初ランクインにつながった。一方、ブランドの認知度がもともと高かった「Uniqlo」(ファーストリテイリング/7位)は、海外売上高比率の大幅アップにより、初登場にして一気にトップ10入りを果たした。
 初ランクインの企業の他にも、「Daikin」(ダイキン工業/21位)、「Shimano」(シマノ/24位)、「Unicharm」(ユニ・チャーム/23位)など、新興国でビジネスを拡大している企業は多い。今がまさに日本の高度成長期にあたる新興国では、これらの企業が手がけるエアコン、自転車部品、紙おむつなどの商品分野で、生活に余裕が出て来た中間層の需要が急増している。やはり新興国は日本企業にとって、多大なビジネスチャンスを秘めた市場と言えるのだろう。
 その他、今回ランクインした「意外な企業」の顔ぶれも見ておこう。読者が最も意外に感じるのは、日本では「経営難」というイメージが強い「Sony」(ソニー/4位)が前年に引き続き4位にランクインしていることではなかろうか。実は、一般消費者が感じるブランド価値が、日本国内と海外とで相当違うケースもある。たとえばゲーム分野において、ソニーのブランド力は海外で想像以上に強い。「PS4は日本より海外のほうが売れており、ソフトの数も海外のほうが多い。実はソニーは、グローバルに見たブランド力では相当踏ん張っている」(和田CEO)のだ。

 数年前にメディアを賑わせたインサイダー取引事件で、ブランド価値を大きく失墜させたイメージのある「Nomura」(野村證券/25位)は、「景気回復に伴う株高によって業績が改善したこと、リーマンショック後に受け入れた元リーマン社員と従来の社員との融合が進み、組織が安定してきたことなどが評価された」(和田CEO)という。

地道な努力を世界が認めた!
アシックスが注目ブランドな理由

 なかでも、和田CEOが特に注目しているブランドが、「Asics」(アシックス/19位)である。日本ではナイキなどと比べてブランドが弱いイメージもあるが、縮小する国内のスポーツシューズ市場を睨み、いち早く海外に打って出たことが奏功し、グローバルで存在感を強めている。「安くてよい靴なのに世界で売れないはずがない」と長年ブランド戦略の研究を地道に進めた成果を、「日本のブランドも10年かければ強くなれるというよい例」と、和田CEOは高く評価する。
 このアシックスと似たタイプの企業が、日本のメディアで大きく話題になることが少ないものの、海外で意外なほど存在感を強めている「Ricoh」(リコー/20位)や「Konica Minolta」(コニカミノルタ/30位)。リコーは海外での積極的なM&Aによる事業規模の飛躍的な拡大、コニカミノルタは技術革新への前向きな取り組みなどがグローバルで評価された。コニカミノルタの海外売上高比率は、すでに77%に及んでいる。
 ちなみに今回のランキングでは、航空ブランドは集計の対象外となっている。もともと国策会社として発足し、現在も国の意向にビジネス環境が大きく左右されがちな航空各社は、他の民間企業と並べてブランド価値を論じるのが難しいからだという。また、通信、IT、銀行、不動産、小売などの内需型ブランドは、海外売上高が低いため、グローバルのランキングには顔を出さない。こうした企業のブランド価値を知りたい読者は、同時に発表された「Japan’s Best Domestic Brands 2015」(日本の国内ブランド Top 30)を参照されたい。
 あなたが注目している企業は、この中にいくつあっただろうか。単に日本国内だけのブランドイメージや、足もとの業績のよしあしだけでは、日本企業の真のブランド価値を計ることはできない。世界基準でいかに存在感を高められるかは、熾烈なグローバル競争に勝ち残るために企業が重視しなければいけない最も重要なポイントの1つ。消費者も投資家も、今後そうした目線も持ちながら企業を見つめてはどうだろうか。
(ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)

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