1-2-Switch Review
かつてないハードの紹介としては成功、だがゲームとしては深みがなく、小細工に頼っている
「1-2-Switch(ワン・ツー・スイッチ)」は至極へんてこなパーティーゲームで、筆者は「メイド イン ワリオ」や「マリオパーティ」といった類似のゲームよりも大爆笑した。けれど、ゲームが面白かったのか、ゲームを嘲って笑ったのかは、わからない。Joy-Conのセンサーの感度をひけらかすために、28個のミニゲームがあるように思える。確かにそれは伝わったが、ゲームそのものに、真の深みというものがない。
最初から妙な感じがある。各ゲームは、よくできたトレーラー兼チュートリアルから始まり、人物の動きを見て全体の雰囲気やしくみがわかるようになっている。色調も合っているし、うまく編集されているのだが、役立つ解説というよりは、むしろ各ゲームの宣伝のようだ。何をどうやったら遊べるのかが分からないものもあるため、最初はみんなで「あれ?ここで何すればいいんだっけ?」と言い合うことになる。
遊び方を知っていても混乱するゲームもある。野球のミニゲームが良い例だ。一方がバッター、もう一方がピッチャーなのはわかるが、いいタイミングでスイングして打つためにどの音を目安にすればいいのか教えてくれない。その上、ランダムにアウトになることがあるように感じる。自分がバッターのとき、自らの打球を仮想の球場にいるバーチャルの選手が「キャッチ」することがあるのだが、成功した時とのスイングの違いが全くわからない。何がいけなかったのか、一切教えてくれないのだ。
「赤ちゃん」は筆者が今までプレイしたなかで最もうんざりするゲームの一つだ。
「ゴリラ」や「赤ちゃん」、「禅」といったゲームについては、ゲームそのものの奇妙さ以外に魅力は無いに等しい。「ゴリラ」で出来ることと言えば、自分の胸をたたくという、Joy-Conがなくても出来ることだ(やらないだろうけれど)。「赤ちゃん」では、ゲーム機を赤ちゃんのように抱き、泣き止むまでゆっくりゆらして、起こさないように置く。赤ちゃんの泣く声そのもののせいだと思うが、筆者が今までプレイしたなかで最もうんざりするゲームの一つだ。「禅」では、微動だにせず座っているか、指定されたポーズをキープするか、あるいはJoy-Conを置いておけばいい。Switchはだいたい、違いに気づかないのだから。
パーティーで遊ぶことを想定すると、音声に依存するゲームには大きな問題がある。周囲がうるさいと遊べなくなるのだ。最も気に入ったゲームの一つに、ゲーム内の指示が女性の声なら、コントローラーを上下左右に動かすが、男性の声であれば指示と反対方向に動かす、というものがある。静かな環境があれば、競争できて楽しい。ただ、パーティーゲームでありながら、話し声や音楽あふれる実際のパーティーでプレイできないというのは、おかしな話だ。
そうは言っても、実際にプレイしてみなければ、たくさん笑うことはなかったはずだ。4時間にわたって、少ない人数で「1-2-Switch」のばかげた全ゲームを遊んでみたところ、まったく飽きなかった。それどころか、もう1、2時間「ガンマン」のシンプルな早撃ちをやってもよかったと思える。
「1-2-Switch」は、不思議と真剣になってしまう競争体験を与える。
全くなにもないところを噛み続け、Joy-Conに向かってサンドイッチのバーチャル早食いをする可哀想な人の犠牲あっての笑いではあるが、「1-2-Switch」はプレイヤーの社会的関係において、不思議と真剣になってしまう競争体験を与える。今回Switchパーティーをしている間、口を開閉する時に「バ」と言うと早く噛めることに気がついたのだが、結果、全員がものすごくアホらしい「バババババ」という音を出しながら、記録を塗り替えようと躍起になっていた。それから、「ミルク」には本当に、ものすごく笑った。牛の乳搾りをするのだが、対戦する2人のアイコンタクトがどんどん気まずくなっていくなか、不自然かつ、正直言ってあからさまに性的な動きを強いられるのだ。
ユーモアの先に、この機種のしくみを発見する驚きがある。いまだに魔法のように思えるのが、「カウントボール」。「カウントボール」は、細かな振動や音をヒントに、Joy-Conの中のボールを数えるという、Switchの「HD振動」テクノロジーを体感できるゲームだ。ただ、最初の数回は楽しめるが、繰り返し遊ぶ人はあまりいないかもしれない。言ってしまえば、箱の中にあるビー玉のシミュレーションでしかなく、他のどのミニゲームよりも小細工じみているからだ。
他にも、ランダムでゲームが選択される「シャッフルモード」や、チームをつくってコントローラーをみんなで回しながら、その場にいる全員が参加できるボードゲームなどがある。参加しやすく、その場の状況に合わせやすいので、ゲームが初めての人もすぐに「1-2-Switch」に慣れるだろう。
とは言うものの、これはSwitchを紹介するために一度人に見せるぐらいのゲームであって、あとは用済みになるだろう。普段ゲームをしない人たちが大勢楽しんでいるのを何度も見たし、実際に面白いけれど、目新しさは長続きしないものだ。
THE VERDICT(判定)
「1-2-Switch」はSwitch版「Wii Sports」であり、ゲーム機そのもののミッション・ステートメントとなるものだ。シュールでヘンテコなミニゲームのおかげで、記憶に残る面白い体験になっているものの、チュートリアルや合図が不明瞭なせいで、中には遊び方が分かりづらいミニゲームもある。妙なところや欠点はあるが、友人と少人数で遊ぶ分には、プレイするのも見るのも本当に楽しかったので、そういった特定の状況であればおすすめだ。ただ、またやりたいとはあまり思わない。
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