市場が囃す任天堂 DeNA提携に4つの不吉
この熱気は果たして本物なのか--。資本・業務提携の発表を機に、にわかにフィーバーした任天堂とDeNAの株価に、市場関係者が冷ややかな視線を送っている。
電撃の提携発表を受け、翌3月18日は両社の株に買いが殺到、値幅制限の上限(ストップ高)まで急伸した。DeNAに至っては翌日もストップ高、任天堂はストップ高にこそ届かなかったが、昨年来高値を更新した。その後、両社とも株価は堅調に推移している。
「ともに事業展開が停滞し、業績がさえない両社がタッグを組んで局面を打開する。任天堂の岩田聡社長が『極めて強力な組み合わせ』と自賛したことから“提携の果実”に期待した個人投資家が殺到したのですが、思惑通り運ぶとは限らない。もし期待外れで終わったら目も当てられません」(大手証券マン)
まず注目すべきは出資比率だ。両社は220億円ずつ出資し、相手企業の株式を取得する。その結果、任天堂はDeNA株の約10%を取得して第2位の大株主に浮上。これに対しDeNAは任天堂の1.24%の株主にとどまる。そもそも株価が3月24日終値ベースで任天堂(1万7940円)、DeNA(2139円)と大きな開きがあるためだ。保有比率から見て対等の提携とは言い難く、DeNAに対する任天堂の発言力は嫌でも大きくなる。これが今後に影響する不吉なシグナルの第1点。
それ以上に悩ましいのが戦略の違いだ。任天堂はこれまでスマートフォン向けゲームをかたくなに拒んできた。それがDeNAとの提携を機に“禁”を破る。といって主力の家庭用ゲーム機を放棄するわけではない。それどころか、記者会見の席で岩田社長は「家庭用ゲーム機への情熱を持ち続ける証明」として新型ゲーム機を来年発表すると強調した。要するにスマホとゲーム機との“二刀流”宣言だ。
一方、モバイルが主力のDeNAはスマホ向けでのヒット作が少なく、利用者からの課金収入をバンバン増やしたいのが本音。その点、マリオに代表される任天堂のキャラクター活用は魅力だが、当の任天堂が二刀流を貫く限り、スマホ戦略をめぐって両社の関係にヒビが生じかねない。これが第2の不吉である。
その試金石となるのが、今年度中に両社が共同開発して配信するスマホゲーム。しかし、任天堂ウオッチャーは素っ気ない。
「頑固一徹というのか、任天堂は自社ソフトにこだわってきた。それがDeNAとうまく協業できるのかは疑問が残る。まして出資比率からいって任天堂にはDeNAを見下したようなところがある。もし彼らが猛反発したら、この提携シナリオは崩壊する。それに二刀流といえば聞こえはいいが、現実に岩田社長が軸足を置くのは家庭用ゲーム機のハードとソフトの売り上げで、スマホはそのための呼び水みたいなもの。もしスマホの共同開発を通じて任天堂の本音が露呈されたら、この提携は一気に解消へ向かいます」
これが第3の不吉である。両社の資本・業務提携に飛びついた個人投資家が、そこまで読んでいたかは怪しい限りだ。ところが、不吉なシグナルには“ダメ押し”がある。
「記者会見で岩田社長は『2010年にDeNAからモバゲーに任天堂のキャラクターを出してほしい、と打診されたことが提携のきっかけだった』と強調している。当時、その手の話はあったのでしょうが、今年2月の会見でも本人は例によってスマホ向けゲームには慎重な姿勢を崩さなかった。それが一気に手のひらを返したのです。この間、よほどのことがあったとしか思えません」(経済記者)
任天堂は昨年3月期まで3期連続の営業赤字に塗れている。この3月期は辛うじて黒字を確保できる見通しだが、不良在庫一掃による苦肉の決算対策のたまものにすぎない。前出の任天堂ウオッチャーが苦笑する。
「彼は『結果に責任を取る』などと豪語しながら社長ポストに固執し、おかげで『恥知らず』『頑として辞めない社長』などと陰口されてきた。当然、有力幹部や株主など心ある面々は『さっさと辞めてくれ』と本気で思っている。経営手腕に疑問符を抱いている以上、いつ社長解任のクーデターが勃発しても不思議ではなかったのです。ところがDeNAと提携すれば『しばらくは様子を見るしかない』となる。これぞ岩田社長が仕掛けた“クーデター逃れ”という究極の延命策に他なりません」
そんな任天堂の救い難い“お家の事情”を知れば、ダシにされたDeNA社員はたちまち興ざめする。これが第4の不吉なシナリオだ。むろん資本・業務提携にかじを切った手前、直ちに白紙撤回とはいかないが、両社の間に早々と深い溝が生じたのは疑う余地がなさそうだ。
電撃の提携発表を受け、翌3月18日は両社の株に買いが殺到、値幅制限の上限(ストップ高)まで急伸した。DeNAに至っては翌日もストップ高、任天堂はストップ高にこそ届かなかったが、昨年来高値を更新した。その後、両社とも株価は堅調に推移している。
「ともに事業展開が停滞し、業績がさえない両社がタッグを組んで局面を打開する。任天堂の岩田聡社長が『極めて強力な組み合わせ』と自賛したことから“提携の果実”に期待した個人投資家が殺到したのですが、思惑通り運ぶとは限らない。もし期待外れで終わったら目も当てられません」(大手証券マン)
まず注目すべきは出資比率だ。両社は220億円ずつ出資し、相手企業の株式を取得する。その結果、任天堂はDeNA株の約10%を取得して第2位の大株主に浮上。これに対しDeNAは任天堂の1.24%の株主にとどまる。そもそも株価が3月24日終値ベースで任天堂(1万7940円)、DeNA(2139円)と大きな開きがあるためだ。保有比率から見て対等の提携とは言い難く、DeNAに対する任天堂の発言力は嫌でも大きくなる。これが今後に影響する不吉なシグナルの第1点。
それ以上に悩ましいのが戦略の違いだ。任天堂はこれまでスマートフォン向けゲームをかたくなに拒んできた。それがDeNAとの提携を機に“禁”を破る。といって主力の家庭用ゲーム機を放棄するわけではない。それどころか、記者会見の席で岩田社長は「家庭用ゲーム機への情熱を持ち続ける証明」として新型ゲーム機を来年発表すると強調した。要するにスマホとゲーム機との“二刀流”宣言だ。
一方、モバイルが主力のDeNAはスマホ向けでのヒット作が少なく、利用者からの課金収入をバンバン増やしたいのが本音。その点、マリオに代表される任天堂のキャラクター活用は魅力だが、当の任天堂が二刀流を貫く限り、スマホ戦略をめぐって両社の関係にヒビが生じかねない。これが第2の不吉である。
その試金石となるのが、今年度中に両社が共同開発して配信するスマホゲーム。しかし、任天堂ウオッチャーは素っ気ない。
「頑固一徹というのか、任天堂は自社ソフトにこだわってきた。それがDeNAとうまく協業できるのかは疑問が残る。まして出資比率からいって任天堂にはDeNAを見下したようなところがある。もし彼らが猛反発したら、この提携シナリオは崩壊する。それに二刀流といえば聞こえはいいが、現実に岩田社長が軸足を置くのは家庭用ゲーム機のハードとソフトの売り上げで、スマホはそのための呼び水みたいなもの。もしスマホの共同開発を通じて任天堂の本音が露呈されたら、この提携は一気に解消へ向かいます」
これが第3の不吉である。両社の資本・業務提携に飛びついた個人投資家が、そこまで読んでいたかは怪しい限りだ。ところが、不吉なシグナルには“ダメ押し”がある。
「記者会見で岩田社長は『2010年にDeNAからモバゲーに任天堂のキャラクターを出してほしい、と打診されたことが提携のきっかけだった』と強調している。当時、その手の話はあったのでしょうが、今年2月の会見でも本人は例によってスマホ向けゲームには慎重な姿勢を崩さなかった。それが一気に手のひらを返したのです。この間、よほどのことがあったとしか思えません」(経済記者)
任天堂は昨年3月期まで3期連続の営業赤字に塗れている。この3月期は辛うじて黒字を確保できる見通しだが、不良在庫一掃による苦肉の決算対策のたまものにすぎない。前出の任天堂ウオッチャーが苦笑する。
「彼は『結果に責任を取る』などと豪語しながら社長ポストに固執し、おかげで『恥知らず』『頑として辞めない社長』などと陰口されてきた。当然、有力幹部や株主など心ある面々は『さっさと辞めてくれ』と本気で思っている。経営手腕に疑問符を抱いている以上、いつ社長解任のクーデターが勃発しても不思議ではなかったのです。ところがDeNAと提携すれば『しばらくは様子を見るしかない』となる。これぞ岩田社長が仕掛けた“クーデター逃れ”という究極の延命策に他なりません」
そんな任天堂の救い難い“お家の事情”を知れば、ダシにされたDeNA社員はたちまち興ざめする。これが第4の不吉なシナリオだ。むろん資本・業務提携にかじを切った手前、直ちに白紙撤回とはいかないが、両社の間に早々と深い溝が生じたのは疑う余地がなさそうだ。
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